精神保健福祉士

ここでは、精神保健福祉士国家試験の日程や概要について解説します。

精神保健福祉士国家試験は例年1月下旬に実施され、合格発表は3月頃となります。2025年度から2027年度にかけてのスケジュールも同様の傾向が続く見込みです。

精神保健福祉士国家試験は例年1月下旬～2月上旬に実施され、合格発表は3月上旬となります。直近3年間のスケジュールは以下の通りです。

精神保健福祉士国家試験 スケジュール

受験を予定している方は、願書受付期間や必要な書類、受験手続きの期限を早めに確認し、余裕を持った準備が重要です。また、大学・養成機関ごとに申請期限や手続きが異なる場合があるため、所属機関の案内も必ずチェックしましょう。年ごとに試験日が微調整されることもあるため、公式情報を定期的に確認し、最新のスケジュールを把握して受験対策を進めることが求められます。

準備ポイント

• 願書受付期間の確認
• 必要書類の事前準備
• 養成機関での手続き日程確認
• 公式発表の定期チェック
  

出典：第27回精神保健福祉士国家試験を実施します。｜厚生労働省
出典：[精神保健福祉士国家試験]試験概要：公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
出典：第28回精神保健福祉士国家試験の施行について｜厚生労働省

精神保健福祉士国家試験は2日間にわたり実施されます。第27回試験（2025年2月実施）以降は新カリキュラムとなり、試験時間が以下のように変更されました。

精神保健福祉士国家試験の実施時間とタイムスケジュールは以下の通りです。

精神保健福祉士国家試験 実施時間

• 1日目（土曜日）
  • 時間帯: 午後
  • 内容: 専門科目（6科目）
  • 試験時間: 14:00～15:30（90分）
• 2日目（日曜日）
  • 時間帯: 午前
  • 内容: 共通科目（12科目）
  • 試験時間: 10:00～12:20（140分）

※弱視等受験者は試験時間1.3倍、点字等受験者は1.5倍
※社会福祉士資格登録者は、受験申込時の申請により2日目の共通科目が免除されます

全体の試験時間は合計230分（3時間50分）です。試験会場への入室締切時間は厳守されますので、余裕を持った移動計画が重要です。

試験日当日のポイント

• 試験会場への移動は余裕を持つ
• 休憩時間に軽食と水分補給
• マークミス防止のため時間配分を意識
• 時計・筆記具・受験票の確認

出典：[精神保健福祉士国家試験]試験概要：公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
出典：第27回精神保健福祉士国家試験を実施します。｜厚生労働省

国家試験の出題形式は五肢択一を基本とする多肢選択方式で、知識を広く正確に問う問題が中心です。出題範囲は精神医学や社会保障制度、精神保健サービスの仕組み、相談援助の理論と実践など多岐にわたります。

出題形式

・五肢択一を基本とする多肢選択形式

・幅広い基礎知識を問う構成

・制度改正が反映される場合あり

また、制度改正や福祉分野の最新動向が反映されることがあるため、テキスト学習に加え、最新の法改正情報や政策動向の把握も必要です。科目ごとに得点基準が設定されているため、得意分野だけでなく苦手分野もバランスよく学習し、基礎知識の定着と応用力の向上を図ることが合格への鍵となります。模試や過去問を活用して、出題パターンや試験全体の構成を把握しましょう。

精神保健福祉士国家試験 出題科目・問題数（第27回試験以降・新カリキュラム）

問題数

• 専門科目合計: 6科目 48問
• 共通科目合計: 12科目 84問
• 総計: 18科目 132問（総試験時間：230分）

※旧カリキュラム（第26回まで）：163問 → 新カリキュラム（第27回以降）：132問

制度改正や福祉分野の最新動向が反映されることがあるため、テキスト学習に加え、最新の法改正情報や政策動向の把握も必要です。

出典：第28回精神保健福祉士国家試験の施行について｜厚生労働省
出典：[精神保健福祉士国家試験]合格基準：公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

ここでは、精神保健福祉士試験の申し込み手順や必要な手続きについて解説します。

精神保健福祉士試験の申し込み期間は例年9月上旬～10月上旬頃に設定されています。

精神保健福祉士国家試験 申し込み期間

• 第27回（令和6年度）
  • 申込期間：2024年9月5日(木)～10月4日(金)
  • 備考：実施済
• 第28回（令和7年度）
  • 申込期間：2025年9月4日(木)～10月3日(金)
  • 備考：受付終了
• 第29回（令和8年度・予定）
  • 申込期間：2026年9月上旬～10月上旬
  • 備考：詳細は公式発表を確認

願書受付は期間内に手続きを完了しなければ無効となるため、早めの準備が欠かせません。受験の手引きは公益財団法人社会福祉振興・試験センターのウェブサイトにて、試験実施年の8月上旬から申請できます。

必要書類

• 受験願書
• 顔写真（規格指定あり）
• 修了証明書／見込証明書
• 受験資格証明書類
• 受験料納付証明（必要に応じて）
  

出典：[精神保健福祉士国家試験]試験概要：公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
出典：第28回精神保健福祉士国家試験の施行について｜厚生労働省

精神保健福祉士試験の申込方法には、インターネット申込と郵送申込があります。インターネット申込では、専用サイトから必要事項を入力し、受験料のオンライン決済を行います。その後、指定された書類を郵送する場合もあるため、案内を確認しながら進めましょう。一方、郵送申込は願書を手書きで記入し、必要書類とともに郵送します。郵送の場合は、書類の記入漏れや郵送遅延を防ぐため、期限数日前には投函することが推奨されます。いずれの方法でも、受験票が届くまで手続き状況を確認し、受験情報を保管しておくことが重要です。自分に合った申込方法を選択し、手続きスケジュールに沿って進めることが合格への第一歩となります。

インターネット申込の流れ

1. 公式サイトにアクセス
2. 必要事項を入力
3. 受験料をオンライン決済
4. 必要書類を送付（必要時）
5. 受験票を受領・保管

郵送申込の流れ

1. 願書を入手
2. 手書きで必要項目を記入
3. 必要書類を揃えて封入
4. 期限前に郵送（追跡サービス推奨）
5. 受験票到着を確認

精神保健福祉士国家試験の受験費用は下記の通りです。

受験手数料（第28回）

精神保健福祉士のみ受験する場合：  24,140円

精神保健福祉士と社会福祉士を同時に受験する場合： 36,360円（＝精神19,520円＋社会16,840円）

精神保健福祉士の共通科目免除により受験する場合： 18,820円

申込手続きでは、書類不備や期限超過など、思わぬミスが起こることがあります。特に、写真の規格不一致、署名漏れ、証明書の不足、封筒の宛先間違いなどは頻発するミスです。また、郵送の場合は料金不足や消印日の確認不足にも注意が必要です。対策としては、受験案内を熟読し、必要書類リストを作成して順番にチェックする方法が効果的です。提出前に第三者に確認してもらうこともおすすめです。さらに、インターネット申込の場合も、入力内容の誤りや添付データの不備がないか確認しましょう。申し込み完了メールや控えを保存し、万が一の問い合わせに備えることも大切です。確実な手続きを行い、受験準備をスムーズに進めましょう。

ここでは、精神保健福祉士試験の主な実施会場や、会場選びのポイント、地方会場利用時の注意点について解説します。

精神保健福祉士試験は、全国7都道府県で実施されます。

第28回試験（2026年1月31日・2月1日実施予定）の試験地は以下の通りです。

試験地（7都道府県）

北海道

宮城県

東京都

愛知県

大阪府

広島県

福岡県

受験申込時に7都道府県のいずれかの試験地を選択します。ただし、具体的な試験会場（大学施設や公共ホール等）は指定されるため、受験者が選ぶことはできません。試験会場の詳細は、試験実施年の12月上旬に発送される受験票に記載されます。

出典：[精神保健福祉士国家試験]試験概要：公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
出典：第28回精神保健福祉士国家試験の施行について｜厚生労働省

試験会場を選ぶ際は、自宅からの距離や交通手段、当日の移動時間を考慮することが大切です。特に冬季に実施される試験では、悪天候による交通遅延のリスクを踏まえ、アクセスが安定した会場を選ぶと安心です。また、試験当日は早めの行動を心がけ、初めて行く場所であれば事前に経路確認をしておくとスムーズです。最寄り駅から会場までの徒歩時間や、会場周辺の飲食店や休憩スペースの有無なども把握しておくと、試験当日に余裕をもって過ごせます。時間に余裕を持ち、落ち着いて会場入りできる環境を整えることが、試験本番の集中力確保にもつながります。

地方会場は都市部と比べて受験者数が少なく、比較的落ち着いた環境で試験に臨むことができる場合があります。一方で、公共交通機関の運行本数が限られている地域もあり、試験当日の移動手段に注意が必要です。車でのアクセスが基本となる会場もあるため、駐車場情報や道路状況を事前に確認しましょう。また、宿泊施設や飲食店が少ない場合もあるため、前泊や昼食準備を検討することが安心です。冬季の積雪地域では、交通状況が急変することもあるため、天候情報を早めにチェックし、余裕あるスケジュールを立てることが大切です。

ここでは、精神保健福祉士国家試験の難易度および合格率の実情について解説します。

近年の精神保健福祉士国家試験の合格率は60～70％台で推移しています。合格率の推移は以下の通りです。

精神保健福祉士国家試験の受験者・合格者の推移

出典：精神保健福祉士国家試験の受験者・合格者の推移｜厚生労働省
出典：第26回精神保健福祉士国家試験合格結果を公表します｜厚生労働省
出典：第27回精神保健福祉士国家試験合格結果を公表します｜厚生労働省

直近3年間は70%前後の高い合格率で推移しており、例年60～65%台であった過去10年間と比較しても高水準を維持しています。ただし、第27回試験から新カリキュラムに変更されたため、今後の合格率は変動する可能性があります。

精神保健福祉士国家試験の合格ラインは、総得点の60％程度が目安とされています。ただし、正式に「◯点以上」と決められているわけではなく、毎年の出題難易度に応じて基準が調整される相対評価方式が採用されています。2025年（令和7年）に実施された第27回精神保健福祉士国家試験の合格点は70点、試験科目の免除を受けた受験者の合格点は32点でした。

また、科目ごとに一定の得点を確保する必要があります。総合点が基準に達していても、特定分野で極端に点数が低い場合は不合格となる可能性があります。そのため、一部の得意科目だけに頼る学習方法はリスクが高く、全分野をまんべんなく理解することが重要です。出題範囲は広く、精神医学、心理学、社会保障制度、相談援助の理論と実践など専門性の高い内容が含まれるため、過去問演習を通じて知識の定着と弱点克服を図ることがポイントです。特に新カリキュラム導入後は試験内容が見直されているため、最新の試験情報や模擬問題を活用し、例年通りの基準にとらわれず柔軟に学習計画を立てて臨む必要があります。

精神保健福祉士国家試験は、合格率70%前後という数字だけを見ると難易度が低いと思われるかもしれませんが、実際には専門科目と共通科目を体系的に理解していないと合格が困難です。受験資格を得るまでに養成施設での履修や実習が必要であり、受験者はすでに一定の知識基盤を持っていることが前提となっています。

合格する人に共通する特徴として、以下の点が挙げられます。

• 過去問を繰り返し解いて出題傾向を把握している
• 苦手分野を早期に発見して重点的に対策している
• 試験日まで計画的に学習時間を確保している
• 最新の制度改正や法律改正を確認している
•  模擬試験などで本番形式の練習を積んでいる

合格実現のためには、計画的かつ戦略的に学習を進める姿勢が求められます。

精神保健福祉士国家試験の合格を目指す上で、「独学」か「スクール（予備校・通信講座含む）」かという選択は重要なポイントです。それぞれにメリット・デメリットがあり、自身の学習スタイルや生活環境に応じて選択することが大切です。

独学とスクールの比較

メリット・デメリット

独学

• メリット: 費用を抑えられ、自分のペースで学習を進められる
• デメリット: スケジュール管理やモチベーション維持が難しい、疑問点の解消に時間がかかる

スクール

• メリット: 体系的な学習が可能、最新の法改正情報が得やすい、講師に質問できる
• デメリット: 費用が高い、決められた時間に受講する必要がある

合格率70%前後という水準から見ると、独学でも十分合格は可能です。ただし、自己管理能力や学習計画の立案が苦手な方、確実に合格したい方はスクールの利用を検討すると良いでしょう。

ここでは、精神保健福祉士を目指す際に必要な学歴や実務経験、未経験者が資格取得を目指す方法、資格取得後のキャリアパスについて解説します。進路に応じたルートを理解し、自分に合った計画を立てることで、精神保健福祉の専門職として確実にステップを踏むことができます。

精神保健福祉士になるためには、指定された養成課程を修了した上で国家試験に合格する必要があります。受験資格を得るルートは学歴や職歴によって複数あります。

精神保健福祉士 国家試験 受験資格取得ルート

※実務経験の対象となる業務は「相談援助業務」に限定されます。
※指定科目・基礎科目の詳細は公益財団法人社会福祉振興・試験センターのウェブサイトで確認してください。

通信制課程や夜間課程を設置している養成施設もあり、働きながら資格取得を目指すことも可能です。自分の学歴や職歴に応じた受験ルートを確認し、無理のないスケジュールで準備を進めることが重要です。

出典：[精神保健福祉士国家試験]受験資格：指定科目履修：公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

未経験者や福祉系以外の学歴の方でも、精神保健福祉士を目指すことは可能です。その場合は、指定の養成施設で必要な科目を履修し、実習を通じて実践的な経験を積むことで受験資格を得られます。高校卒業後に養成校へ進むルートや、社会人から通信制課程へ進む方法など、多様な進路が用意されています。また、実務経験がある場合は、一部科目免除制度が利用できる場合もあります。働きながら資格取得を目指す方は、スケジュール管理や学習計画が大切となるため、早めの準備と情報収集を行い、自分に適した学習スタイルを選ぶことが成功への鍵となります。

主な進路ルート

高校卒 → 養成校入学 → 必要科目履修・実習 → 国家試験
社会人 → 通信制課程＋実習 → 国家試験
福祉現場での実務経験 → 科目履修免除制度活用 → 試験受験

精神保健福祉士の資格取得後は、医療機関、精神科クリニック、障害福祉サービス施設、行政機関、司法機関など幅広い分野で活躍できます。精神障害者や精神保健に課題を抱える方の生活支援、就労支援、家族支援、地域との連携を担う専門職として、多様な場面で求められています。

主な就職先と業務内容

キャリアアップの道

経験を積むことで、以下のようなキャリアパスが開けます。

• 専門分野のスペシャリスト（医療・司法・産業保健など）
• 相談支援専門員、サービス管理責任者などの責任者
• 施設・事業所の管理職
• 大学院進学による研究者・教育者

継続的な研修や学びを通じて専門性を高め、多様な分野で社会に貢献できる職種です。