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退職を検討している方自身の退職に加えて、部下の退職対応や書類確認を行う立場の方にとっても、退職届の法的効力や記載ルールの理解に役立つ情報です。
契約社員・パートなど有期労働契約の方民法や労基法に基づくルールや例外事項、「やむを得ない事由」に該当するケースなど、正しく退職するための法的知識もカバーしています。
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退職願と退職届の違いとは?
会社を辞めるときに使う書類には「退職願」と「退職届」がありますが、意味や使う場面は異なります。
退職願は「会社を辞めたいと思っています」とお願いするための書類で、会社が承諾する前であれば取り下げることもできます。これに対して退職届は「〇月〇日で退職します」と最終的に伝えるためのもので、提出すると基本的に撤回はできません。
簡単に言うと、退職願は“お願い”、退職届は“確定の通知”です。
この違いを知っておくと、上司への伝え方や提出の順番に迷わず、スムーズに退職手続きを進められるでしょう。
退職願・退職届の意味と法的効力
退職願と退職届は似ていますが、その役割は異なります。退職願は「退職したい」という希望を会社に示す文書で承認前であれば撤回が可能です。
退職届は「〇月〇日で退職します」と確定的に伝える通知であり、合意退職の場合は承諾権限者(人事部長等)に承諾された後は、辞職の場合は会社に意思表示が到達した後は、原則として撤回できません。
法的には、民法第627条第1項に「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」と規定されています。
そのため、退職届を提出すれば、会社の承諾がなくても効力が生じる仕組みです。
出典:民法第627条(e-Gov法令検索)(明治29年4月27日施行、最終改正:令和5年法律第53号)
出典:労働政策審議会労働条件分科会 第49回資料|厚生労働省
出典:「労働相談Q&A|22.退職の自由」(連合)
退職願・退職届を提出するタイミング
退職願と退職届は、提出の時期にも違いがあります。
退職願はまず退職の意思を伝える段階で使用され、一般的に退職希望日の1〜3カ月前に提出します。
その後、会社と退職日や引き継ぎ内容が確定した時点で退職届を提出するのが一般的です。ただし会社によっては退職届のみを求めるケースもあるため、就業規則を確認しましょう。
退職願・退職届と辞表の違い
「辞表」は退職願や退職届とは対象者が異なります。
辞表は取締役や監査役といった役員、または公務員が地位や役職を辞める際に提出する文書です。雇用契約に基づく従業員が使うものではなく、退職届とは法的性質も用途も異なります。
一般社員が「辞表を出す」と表現することがありますが、その場合は実質的に退職届として扱われます
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退職願と退職届のメリット・デメリット
退職願と退職届にはそれぞれ特徴があり、状況に応じて使い分けることで退職手続きを円滑に進められます。退職願は会社の承諾を得るまでは撤回できるため、柔軟に対応できる点がメリットです。
一方、退職届は提出後の撤回ができないため、退職の意思が確定している場合に適しています。
ただし、退職届を早い段階で出すと調整が難しくなり、トラブルにつながることもあります。どちらを用いるかは、会社の規則や退職理由、タイミングを踏まえて判断しましょう。
どちらを選ぶべきか
一般的には、まず退職願を提出して会社の承諾を得てから、退職日が正式に決まった段階で退職届を出す流れが望ましいとされています。
ただし、企業によっては最初から退職届の提出を求める場合もあるため、必ず就業規則を確認しましょう。急な事情で判断が難しいときは、直属の上司や人事部に相談してください。
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退職願と退職届は両方提出した方がいい?
退職時に「退職願」と「退職届」を両方出す必要は基本的にありません。
【無期労働契約の場合】
退職願は「辞めたい」という意思を示す希望文書であり、口頭でも代替可能です。一方、法的効力を持つのは退職届で、民法第627条第1項に「期間の定めのない雇用は、解約の申入れから2週間で終了する」と規定されています。
そのため、退職届を提出すれば会社の承諾がなくても効力が生じます。実務上は退職届のみで十分ですが、会社によっては「まず退職願を提出し、その後退職届を出す」と就業規則で定めている場合もあります。
【有期労働契約の場合】
有期労働契約を締結している方は、退職のルールが異なります。
民法第628条により、有期労働契約では「やむを得ない事由」がある場合に限り、契約期間の途中で退職することができます。正当な理由なく中途退職した場合、会社に損害賠償を請求される可能性があります。
「やむを得ない事由」の例
- 本人の傷病や心身の病気
- 家族の介護が必要になった場合
- 業務が法令に違反している場合
- その他、社会通念上やむを得ないと認められる事情
ただし、以下の場合は例外があります。
労働基準法附則第137条により、契約期間が1年を超える有期労働契約(一部の専門職・高齢者を除く)については、契約開始から1年経過後は「やむを得ない事由」がなくても、労働者はいつでも退職することができます。
したがって、自分の勤務先のルールと契約内容を確認したうえで、必要に応じて提出するのが望ましいでしょう。
出典:労働契約の終了に関するルール|厚生労働省
出典:民法第627条(e-Gov法令検索)
出典:よくあるご質問(退職・解雇・雇止め)|大阪労働局
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退職願・退職届の書き方と封入の仕方
退職願や退職届は会社に正式に提出する書類なので、書き方や提出の仕方を誤ると、社会人として配慮に欠ける印象を持たれる恐れがあります。
ここでは、文面の基本ルールや便箋・封筒の扱い方について解説します。見本を参考にしながら、自分の状況に合った形で準備していきましょう。
退職願・退職届の書き方
退職願と退職届の文面はほぼ共通で、退職の意思・退職日・理由を簡潔に記すのが基本です。
理由は「一身上の都合により」と定型的に書くのが慣例で、詳しい事情は不要です。
宛先は「代表取締役社長 ○○殿」など会社の最高責任者宛とします。敬称は「殿」または「様」のいずれかを使用しますが、正式なビジネス文書では「殿」が一般的です。ただし、「様」を使用しても問題ありません。社内慣例に従って選択しましょう。
氏名の下に押印するスペースを残しておくことも大切です。用紙は白の無地便箋(B5またはA4)が望ましく、手書きでもPC作成でも問題ありません。
ただし、必ず消えない黒インクを使用して記入するようにしましょう。
退職願・退職届の折り方と封筒の書き方
完成した書類は三つ折りにして封筒へ入れます。封筒は白無地で、表には「退職願」または「退職届」とだけ記載し、裏の左下に所属と氏名を明記します。
筆記具は黒のボールペンを用い、手渡しの場合は封を閉じなくても構いません。郵送や社内規定で封印が必要な場合は糊付けし、封じ目に「〆」と記すのが慣例です。
形式はシンプルですが、会社の重要書類として扱われるため、清潔感と正確さを意識して準備しましょう。

退職願・退職届の書き方のポイント
ここでは、退職願や退職届を作成する際に押さえておくべき基本ルールを解説します。
形式や文末表現を誤ると修正が必要になることもあるため、正しい書き方を把握しておきましょう。
書き出し
冒頭は「私儀(わたくしぎ)」と記すのが慣例です。これは「私事ですが」という意味を持ち、正式な文書で自分の事情を述べる際の表現です。
退職願・退職届いずれも同様に用いられますが、改まった文体にすることで、会社に対して敬意を示すことができます。
特に手書きで作成する場合は、この言葉から始めるのが一般的です。
退職理由
自己都合退職の場合は「一身上の都合により」と書くのが一般的です。
細かい理由を記載する必要はなく、むしろ具体的に書くことで社内記録に残り、不利になる可能性もあります。
一方、会社都合による退職の場合は、企業側で定める文面を使用する場合が多いため、上司や人事部に確認して記載方法を調整すると安心です。
退職日
退職願には「退職希望日」を、退職届には上司との協議で決定した「正式な退職日」を明記します。記載方法は西暦でも和暦でも構いませんが、会社が日常的に使用している形式に合わせると統一感が出ます。
特に縦書きでは漢数字(一、二、三)を用いることが望ましいとされており、形式を守ることで公式文書としての信頼性が高まります。
文末
退職願の場合は「退職させていただきたく、お願い申し上げます」と、あくまで依頼の形を取ります。一方で退職届は「退職いたします」と、事実を報告する表現を用いるのが一般的です。
この違いは、退職願が承認前の意思表示であるのに対し、退職届は確定した通知であるためです。文末表現を誤らないことが重要です。
届出年月日
退職願・退職届の届出年月日には、書類を実際に提出する日付を記載します。
記載のタイミング
- 書類を作成してすぐに提出する場合: 作成日=提出日として記載
- 書類を作成してから数日後に提出する場合: 実際に提出する日付を記載
形式
- 西暦・和暦のどちらでも構いませんが、会社の公的文書で使用されている形式に合わせることを推奨します
- 退職日と同じ形式(西暦または和暦)で統一すると見やすくなります
注意点
- 退職日(退職する日)と届出年月日(書類を提出する日)を混同しないように注意してください
- 誤記があると再提出を求められる場合があるため、正確に記入しましょう
- 提出日は必ず退職日よりも前の日付になります
所属部署・氏名
自分の所属部署と氏名は、宛名の下に記載します。氏名の下には必ず押印スペースを設け、朱肉を使用した印鑑を押すのが基本です。
シャチハタなど簡易印は避け、実印または認印を用いると正式な文書としての体裁が整います。
宛名
宛名は会社の最高責任者宛に記載します。基本的には「代表取締役社長 ○○殿」と書きます。また、自分の署名よりも宛名が上に来るようにレイアウトを整えましょう。
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退職届の例文・サンプル
退職届は、退職の意思を正式に通知する重要な文書です。
ここでは、自己都合退職と会社都合退職のそれぞれのケースに対応したサンプル文をご紹介します。実際に作成する際の参考にして、正しい形式で提出できるようにしましょう。
【自己都合】退職届の例文・サンプル
退職届 私儀 このたび、一身上の都合により、令和○年○月○日をもって退職いたします。 令和○年○月○日 株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇 殿 営業部 ○○(氏名) ㊞ |
|---|
【会社都合】退職届の例文・サンプル
会社都合退職の場合、退職届の取扱いは通常と異なります。
会社都合退職とは、以下のような理由による退職を指します。
- 解雇(整理解雇、倒産等)
- 退職勧奨に応じた退職
- 事業所の廃止・移転
- 賃金の大幅な減額
- 長時間労働やハラスメント等
退職届の提出について
会社都合による退職の場合、通常は会社側が用意した書面(退職合意書、解雇通知書等)で手続きを進めるのが一般的です。従業員が自己判断で「会社都合により退職します」と記載した退職届を提出しても、会社都合として認められない可能性があります。
なぜなら
- 離職理由(会社都合か自己都合か)の最終判断は、ハローワークが行います
- 退職届に「一身上の都合」と記載すると、自己都合退職と見なされるリスクがあります
- 雇用保険の失業給付(給付制限期間、給付日数等)に大きく影響します
正しい対応手順
1. 会社からの指示を確認
人事部または上司に、退職届の提出が必要か、必要な場合はどのような文面にすべきか確認してください
2. 会社指定のフォーマットがある場合
指定された書式に従って記入・提出してください
3. 退職届の提出を求められた場合
以下のように退職理由を明記しない中立的な文面を使用します
【中立的な文面の例】
退職届 私儀 このたび、令和7年3月31日をもって退職いたします。 令和7年2月1日 株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇 殿 開発部 ○○(氏名) ㊞ |
|---|
※この文面は会社から独自の記載指示がない場合の暫定例です。
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退職願の例文・サンプル
退職願は、退職の意思を会社に申し出るための文書であり、まだ確定前の段階で提出するものです。
ここでは自己都合と会社都合、それぞれのケースに合わせた例文を紹介します。実際に作成する際の参考にして、適切な形式で準備しましょう。
【自己都合】退職願の例文・サンプル
退職願 私儀 このたび、一身上の都合により、令和7年3月31日をもって退職させていただきたく、お願い申し上げます。 令和7年2月1日 株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇 殿 営業部 ○○(氏名) ㊞ |
|---|
【会社都合】退職願の例文・サンプル
会社都合での退職は、退職勧奨合意書や解雇通知など会社側書式で進むのが一般的です。
従業員側から「会社都合」と明記した退職願を出す必要は原則ありません。提出を求められた場合でも、文面・提出要否は人事に確認し、会社の指定書式に従ってください。
退職願 私儀 このたび、令和7年3月31日をもって退職いたします。 令和7年2月1日 株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇 殿 開発部 ○○(氏名) ㊞ |
|---|
※「会社都合」の記載有無は雇用保険の離職票区分等で会社が処理します。従業員が独断で書面に「会社都合」と記すのは避けましょう。
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退職願・退職届を郵送で提出する場合の注意点!添え状・送付状は必要?
退職願や退職届は、基本的には直属の上司に直接手渡しするのがマナーです。しかし、体調不良や遠方への転居などやむを得ない事情で出社できない場合には、郵送で提出することも可能です。
その際は、書類を封筒に入れて送るだけでなく、簡単な添え状(送付状)を同封すると丁寧な印象になります。添え状には「退職願(届)をお送りしますのでご査収ください」と一文を添える程度で十分です。
郵送方法は信書扱いとなるため、普通郵便ではなく簡易書留やレターパックなど配達記録が残る方法を検討してください。
万が一トラブルが起きた際に「いつ送付したか」を証明できる点でも安心だといえるでしょう。
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退職願・退職届を提出するまでの手順を紹介
退職を円滑に進めるには、退職願や退職届の書き方だけでなく、実際に提出するまでの流れを理解しておくことが大切です。
ここでは、退職を決めてから、退職願・退職届を届け出るまでの手順を解説します。
Step1:退職スケジュールを立てる
まずは、退職日をいつにするかを決めましょう。就業規則には「退職日の◯カ月前までに申し出ること」と定められている場合が多いため、事前に確認をしておきましょう。
転職先の入社日との調整や、引き継ぎに必要な期間を考慮すると、1〜2カ月前には退職の意思を固めておくのが現実的です。
民法627条では「2週間前の通知」で退職可能ですが、実務上は引き継ぎや採用活動のためにも、余裕をもったスケジュール設定を推奨します。
Step2:直属の上司に退職意思を伝える
退職を決意したら、まず直属の上司に相談します。面談を依頼し、人目のない場所で退職の意思を伝えましょう。この際に退職願を手渡しすれば、意思が固いことを示せます。
上司から慰留を受ける場合もありますが、早めに伝えることで会社側に準備期間を与え、円満退職につながります。
Step3:退職届を作成・提出する
上司との話し合いで退職日が確定したら、正式に退職届を作成します。
多くの会社では退職日の1カ月前までに提出するよう求めています。提出方法は直属の上司への手渡しが基本です。
受理されると、会社としても正式に退職が承認されたことになります。文面は簡潔にまとめ、感謝の気持ちを忘れずに伝えることも大切です。
Step4:退職が承認されたら社内へ報告
一般的に退職の事実は、退職届が受理された後に上司や会社から正式な発表があります。噂が先行すると不要なトラブルにつながるため、自分から話さないよう注意してください。
報告のタイミングを会社に委ねることで、社内の混乱や人間関係の悪化を防げるでしょう。
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退職願・退職届を提出する際の必要書類と準備
退職願・退職届には会社指定のフォーマットがある場合があるため、まずは確認しましょう。指定がなければ、一般的な書式を用いて作成します。
用紙は白無地のA4またはB5を使用し、黒インクのボールペンや万年筆で記入します。印鑑は実印または認印を用い、シャチハタは避けるのがマナーです。
封筒は白無地を選び、表面に「退職願」または「退職届」と記載し、裏面に所属と氏名を記入します。
必要事項としては、提出日、退職希望日、所属、氏名、捺印、代表者宛ての記載が求められます。
手渡し・郵送・メールの違いと注意点
退職願・退職届の提出方法にはいくつかの選択肢がありますが、それぞれに適した場面や注意点があります。
基本は直属の上司に直接手渡しするのが望ましいものの、やむを得ない事情で郵送やメールを使うケースもあります。以下に方法別のメリットと注意点をまとめました。
方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
手渡し | 最も望ましい方法 直属の上司に直接渡せる | 事前にアポイントを取り、人目の少ない場所で提出する 封はせず渡す |
郵送 | 出社困難時に利用可能 記録が残る | 封をして「〆」印を記入 添え状を同封し、簡易書留やレターパックなど配達記録が残る方法を選ぶ |
メール | 特殊事情(遠隔勤務など)の場合にのみ有効 | 原則避ける 会社の指示がある場合に従う |
提出方法を誤ると、誠意が伝わりにくくなったり、不備が原因で再提出を求められることもあります。自分の状況や会社のルールに合わせ、もっとも適した方法を選ぶことが円満退職につながります。
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退職願・退職届で退職理由を伝えるコツ
書類に記載する退職理由は、自己都合の場合「一身上の都合により」とするのが一般的です。会社都合の場合は「部門縮小のため」など、簡潔かつ客観的に記載します。
上司や人事担当者に説明する場面では、状況に応じてもう少し具体的に伝えることもありますが、基本的には前向きな表現を意識しましょう。
事前に理由を整理しておけば、面談や書類作成の際に迷わず対応でき、余計なトラブルを避けやすくなります。
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退職願・退職届提出後!退職をスムーズに進める方法
退職を円満に進めるためには、計画的な準備と誠実な対応が欠かせません。
退職日までに業務の棚卸しや引き継ぎを行い、取引先への挨拶や社内調整を丁寧に進めることで、トラブルや混乱を防げます。さらに、退職後に必要な保険や税金の手続きも忘れずに行いましょう。
退職日までの引き継ぎ・業務整理
退職が決まったら、まずは業務の棚卸しを行い、引き継ぎリストやマニュアルを作成します。進行中の案件や注意点を明確にし、後任者や同僚へ丁寧に伝えましょう。
取引先や関係者への引き継ぎ・挨拶も忘れず、最終出勤日まで責任を持って業務を遂行することが円満退職につながります。
間関係を良好に保つコツ
退職理由は「一身上の都合」など前向きで簡潔に伝え、会社や同僚への感謝の気持ちをしっかり表現しましょう。
噂や混乱を避けるため、退職の意向は「上司→同僚→関係部署」の順で伝えるのが理想です。最終日には直接挨拶やメールでお礼を伝え、誠実な姿勢を示すことで良好な人間関係を保ちやすくなります。
【保険・年金・税金】退職後の手続き
退職後には以下の手続きが必要です。期限を守らないと不利益が生じるため注意しましょう。
手続き項目 | 内容 | 手続き期限(目安) |
|---|---|---|
健康保険の切り替え/任意継続/扶養加入 | 退職後、健康保険の被保険者資格を失ったら、以下のいずれかを選択する必要があります。 ①国民健康保険への加入 ②任意継続被保険者制度の利用 ③家族の扶養に入る | 【国民健康保険加入】 退職日の翌日から14日以内(市区町村窓口) ※14日を過ぎても手続きは可能ですが、速やかに行ってください。 【任意継続加入】退職日の翌日から20日以内に協会けんぽまたは健康保険組合へ申請(協会けんぽの場合、20日目が土日・祝日の場合は翌営業日まで。郵送の場合は期限内必着。健康保険組合により取扱いが異なる場合があるため要確認) |
年金(国民年金への切り替え) | 再就職しない場合、厚生年金から国民年金第1号被保険者への切り替えが必要です。手続きは住民登録している市区町村役場の国民年金窓口で行います。 | 【手続き期限】退職日の翌日から14日以内(市区町村窓口) ※14日を過ぎても手続きは可能ですが、速やかに行ってください 【必要書類】 ①年金手帳または基礎年金番号通知書 ②退職日を証明できる書類(離職票、退職証明書等) ③本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証等) |
住民税 | 退職時期によって納付方法が異なります。 【1月1日〜5月31日退職】退職月の給与または退職金から5月分までの住民税を一括徴収することが原則として義務付けられています(ただし、最終給与額が一括徴収する住民税よりも少ない場合などは普通徴収への切り替えも可能) 【6月1日〜12月31日退職】退職月までは特別徴収(給与天引き)、退職後は普通徴収に切り替わり、自宅に納付書が送付されます。年4回の分割納付または一括納付を選択 【転職先が決まっている場合】「給与所得者異動届出書」を提出することで特別徴収を継続可能(退職日の翌月10日までに市区町村へ提出) | 【普通徴収の納付時期】6月、8月、10月、翌年1月(年4回)※自治体により異なる場合があります。 |
所得税(源泉徴収票等) | 年末調整や確定申告で税の精算を行う 源泉徴収票、雇用保険被保険者証、基礎年金番号通知書(またはマイナンバー)などの必要書類を確保する | 確定申告期間や年末調整実施時期に応じて必要(通常年明け) |
※国民健康保険の届出期限は原則14日以内(市区町村窓口)、任意継続は20日以内(協会けんぽ等)。年金の切替はできるだけ速やかに(多くの自治体で14日目安)。自治体・保険者により運用が異なるため各窓口で必ず確認。
出典:任意継続の加入条件について | よくあるご質問 | 全国健康保険協会
出典:会社を退職したときの国民年金の手続き|日本年金機構
出典:給与所得の確定申告がさらに簡単に!【利用者用ページ】|国税庁
出典:届け出が遅れると - 北九州市
退職時によくあるトラブルを回避するポイント
退職をめぐるトラブルを避けるためには、まず就業規則を確認し、退職手続きの期限を守ることが欠かせません。
不明点があれば早めに人事や上司へ相談しましょう。退職願・退職届や引き継ぎ内容は必ず書面に残し、証拠として保管しておくことも重要です。
また、未払い給与や退職金、社会保険料の精算が正しく行われているかを確認し、退職後の連絡先や必要書類の受け取り方法も明確にしておきましょう。
さらに、在籍証明や退職理由証明など、転職活動で求められる書類を事前に準備しておくと安心です。
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まとめ
退職願と退職届は似ているようで役割が異なり、退職願は意思表示、退職届は確定通知として使われます。提出のタイミングや書き方を誤ると、マナー違反と受け取られることもあるため注意が必要です。
基本は就業規則を確認し、まず上司に相談して退職願を提出、その後日程が決まった段階で退職届を出すのが一般的な流れです。
書き方は「私儀」「一身上の都合により」といった定型表現を用い、白い便箋と黒インクで作成するのが望ましいでしょう。
やむを得ず郵送する場合は添え状を添え、配達記録が残る方法を検討してください。正しい手順を踏むことで、退職後も良好な人間関係を保ち、次のキャリアへスムーズに進めるはずです。
よくある質問
Q.退職願を出さずに退職届だけ出してもいい?
退職願はあくまで「退職したい」という意思を会社に伝える書類で、承認前なら撤回も可能です。一方、退職届は退職を確定的に通知する文書であり、受理後の撤回は原則できません。
就業規則で退職願の提出が求められていなければ、退職届だけを提出しても法的には問題ありません。ただし、円満退職のためには事前に退職願を提出し、上司との合意を得たうえで退職届を出すのが望ましい流れです。
Q.退職願・退職届は手書きがいい?
退職願や退職届は、必ずしも手書きである必要はありません。PCで作成し印刷したものでも有効で、効力に差はありません。
ただし、ビジネスマナーの観点では、白無地の便箋に黒インクで丁寧に手書きした方が誠意を伝えやすいと考える人事担当者もいます。
特に少人数の会社や伝統的な職場では手書きを推奨されるケースもあるため、社内慣習や上司の考えに合わせて選ぶと安心です。
Q.「会社都合」で退職する場合も退職届の提出は必要ですか?
会社都合退職では、会社側の書面(退職合意書・解雇通知・指定フォーマット)で手続きするのが一般的です。
自己判断で『会社都合』と記載した退職届を提出する必要はありません。提出の要否や記載内容は必ず人事部・上司に確認し、会社指定の文面・様式に従いましょう。
[介護サーチプラス]編集部
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